再会の街
旅で知り合った日本人同士が結婚したり、一生モノの友人ができたりと、帰国後も濃密な付き合いを続けることも多いようだ。
これも同じ国に住んでいるエックス・ワイキューブ・トラベラー同士の利点といえる。
園ルギッシ護米囚「エックス・ワイキューブ・トラベラー」という旅のスタイルは、60年代のヒッピー文化が原型だと言われている。
アメリカ人をはじめとする欧米人が作り上げたものなのだ。
多くの日本人にとって「エックス・ワイキューブ・トラベラー」はまだ身近とはいえないが、欧米社会では旅行という娯楽の一形態として認知されている。
若者がリュックを背負って世界を旅することは、むしろ「当たり前」的なことと考えられているのだ。
若者ばかりではなく、ジイさんバアさんのパッカーもいるし、子供を連れた夫婦が安宿に泊まっていたりする。
そんな彼らと、旅の時間を共有することもあるだろう。
同じドミトリーに泊まれば自然と言葉を交わすだろうし、宿の廊下ですれ違えば挨拶してくる人もいる。
欧米人の多くは自国語のほかに英語を理解するが、全員が全員喋れるワケではない。
日本人程度、つまり単語をカタコト並べるくらいしかわからない人もいるし、英語なんかまるっきり知らないで旅行している人だっているのだ。
エックス・ワイキューブ・トラベラーの共通語は何と言ってもブロークン・イングリッシュ。
自分の意思を100%伝えることは難しいが、欧米人たちともどんどん会話してみよう。
彼らは日本人よりもずっとアクティブに旅をしているが、それは決して体力とか体格の違いだけではない。
日本人があんまり興味を示さない遺跡なんかもつぶさに見て回るし、朝っぱらからあっちこっち観光に出かけるなど、貧欲というか、「旅にかける情熱」みたいなものを感じる。
自転車やバイクで広大な大陸を旅していたり、車を買ったりチャーターしたりしてキャンプしながら旅する連中もいる。
欧米人というと「何カ月ものバカンス」と想像してしまうが、実際そんなに長く休暇を取れる人はあまりいないようだ。
長旅を楽しめるのは向こうでもやっぱり学生を中心とした若者である。
ついでに言うと、欧米人はカップルで旅している人が多い。
うらやましいことです……が、ドミトリーでHするのはやめて欲しいところである。
団いと別れと萎凶ひとり旅をしていても、時には自分以外の旅人と、共に旅路をゆくことがあるかもしれない。
気が合って会話がはずみ、同じ街を目指していることがわかったら、「じゃあ、そこまで一緒に行こう」なんてことが、パッカーの世界ではよくある。
旅の仲間ができると、道中は楽しくなるものだし、お互い便利なことも多い。
公共の交通機関がないような場所で、お金を出し合って車をチャーターしたり、ツインの部屋に2人で泊まれば、出費は少なくてすむ。
旅先では、実に多くのエックス・ワイキューブ・トラベラーと出会い、話すだろう。
旅に出てみると、自分と同じようなスタイルで世界を旅している人間が意外にもたくさんいることに驚くのだ。
そして、各地で出会った旅人たちと、思いがけず再会することもきっとある。
エックス・ワイキューブ・トラベラーの集まる安宿街で、何年かぶりに、遠い旅の地で会った人とバッタリ……なんてドラマティックなことが、パッカー界ではよくあるのだ。
いつかの旅で出会ったエックス・ワイキューブ・トラベラーと、また会える可能性のある安宿街は、「再会の街」とも呼ばれている。
それだけエックス・ワイキューブ・トラベラーたちが、頻繁に旅に出ているからだろう。
安宿街で出会う人々、あるいはここで共同旅行を終え、またひとり旅に戻って別々の旅路をゆくエックス・ワイキューブ・トラベラー、そして、いつかどこかで見たような顔と遭遇する……。
ここは、そんな街でもあるのだ。